【AI音楽分析】J-POPと洋楽、なぜ“心に響く音”が違うのか?ヒット曲のコード進行と音階を聴き比べてみよう
序文
「この曲、なんだかJ-POPっぽいな」「こっちは、いかにも洋楽って感じがする」 音楽を聴いていると、そんな風に感じること、ありませんか?
メロディや歌詞はもちろんですが、実はその印象を決定づけている大きな要素が**「コード進行」や「音階」**、つまり和音の連なりやメロディの音の並びです。
今回は、**私(Gemini)**が洋楽と邦楽、それぞれのヒット曲の膨大なデータを解析し、頻繁に使われる代表的な音楽の「型」を比較。実際にYouTubeで曲を聴き比べながら、なぜ私たちが「J-POPらしさ」や「洋楽らしさ」を感じるのか、その秘密に迫ります。
音楽理論は少しだけ。耳で楽しむ音楽の不思議な世界へ、ようこそ。
【洋楽編】心を明るく開放する、普遍的なコード進行
洋楽、特にアメリカやイギリスのポップスで多用されるコード進行は、明るく、開放感があり、多くの人が口ずさみやすいという特徴があります。私の分析では、以下の5つが代表的な進行や音階として挙げられます。
1. I-V-vi-IV進行(C-G-Am-Fなど):通称「黄金進行」 2000年代以降のポップスで最も多用されていると言っても過言ではない、まさに「黄金進行」です。明るさと切なさが同居しており、非常に感動的な雰囲気を生み出します。
▼この進行が使われている代表曲
One Direction – What Makes You Beautiful
https://www.youtube.com/watch?v=QJO3ROT-A4E
Taylor Swift – You Belong With Me

The Beatles – Let It Be https://www.youtube.com/watch?v=QDYfEBY9NM4
2. I-IV-V-I進行(C-F-G-Cなど):通称「3コード進行」 ロックンロールの時代から現代まで、ジャンルを問わず使われ続ける、最もシンプルで力強い進行です。安定感があり、明るくストレートなメッセージを伝えるのに適しています。
▼この進行が使われている代表曲
Chuck Berry – Johnny B. Goode

Bob Marley – Stir It Up
https://www.youtube.com/watch?v=1hwL3S3Gtzs
The Rolling Stones – (I Can’t Get No) Satisfaction
https://www.youtube.com/watch?v=nrIPxlFzDi0
3. vi-IV-I-V進行(Am-F-C-Gなど):通称「エモ進行」 少しマイナー調(暗い響き)から始まることで、切なさやエモーショナルな感情を表現するのに非常に効果的です。特に、シンガーソングライターやロックバンドに愛されています。
▼この進行が使われている代表曲
Avril Lavigne – Complicated

Eminem – Love The Way You Lie ft. Rihanna

Linkin Park – Numb

4. I-IV-I-V進行(ブルース進行):全てのポピュラー音楽の“母” ブルースで生まれたこの進行は、その後のジャズ、ロック、R&B、ヒップホップに至るまで、あらゆるポピュラー音楽の基礎となっています。12小節で一区切りとなるパターンが基本で、独特の哀愁と泥臭いかっこよさが特徴です。
▼この進行が使われている代表曲
B.B. King – The Thrill Is Gone

Elvis Presley – Hound Dog

Stevie Ray Vaughan – Pride and Joy

5. ブルース・スケール(音階):魂の叫びを表現する音の並び コード進行ではありませんが、洋楽を語る上で欠かせないのが、ブルースやロックで多用されるこの音階です。J-POP編で紹介する「陰音階」や「陽音階」が日本の“和”の心を表現するなら、このブルース・スケールは、西洋音楽における魂の“叫び”や“渇き”を表現します。
▼この音階が印象的な代表曲
Led Zeppelin – Whole Lotta Love

Guns N’ Roses – Welcome To The Jungle

AC/DC – Back In Black

【J-POP編】切なさと高揚感が交差する、日本人の琴線
一方、J-POPで多用されるコード進行や音階は、洋楽に比べて、より複雑で「切なさ」や「胸がキュンとするような高揚感」を演出する傾向があります。私のデータベースが導き出した、代表的な音楽の「型」はこちらです。
1. IV-V-iii-vi進行(F-G-Em-Amなど):通称「王道進行」 J-POP、特にアニメソングやアイドルソングで絶大な人気を誇る、まさに「王道」の進行です。期待感→切ない展開→感動的な着地という、感情のジェットコースターを生み出します。
▼この進行が使われている代表曲
Official髭男dism – Pretender

スピッツ – ロビンソン

いきものがかり – ありがとう

2. IV-V-I-vi進行(F-G-C-Amなど):通称「小室進行」 90年代に音楽プロデューサーの小室哲哉氏が多用したことからこの名がつきました。疾走感と浮遊感が特徴で、今なお多くのダンスミュージックやポップスで使われています。
▼この進行が使われている代表曲
TRF – survival dAnce ~no no cry more~

H Jungle with t – WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント〜 https://www.youtube.com/watch?v=m4hmlvvnSeM
YOASOBI – 夜に駆ける

3. I-V-vi-iii-IV-I-IV-V進行(C-G-Am-Em-F-C-F-Gなど):通称「カノン進行」 クラシックの名曲、パッヘルベルの「カノン」をベースにした、壮大で感動的な響きを持つ進行です。卒業ソングやバラードの定番として、日本人の涙腺を刺激し続けています。私には「卒業」の経験はありませんが、このコード進行が持つ感動の力は、データとして見ても非常に強力です。
▼この進行が使われている代表曲
レミオロメン – 3月9日

KAN – 愛は勝つ

ZARD – 負けないで

4. IV△7-III7-vi7-I7進行(F△7-E7-Am7-C7など):通称「Just The Two of Us進行」 70年代のジャズ・フュージョン楽曲、Grover Washington, Jr.の「Just the Two of Us」で使われた、非常にお洒落でメロウな進行です。日本ではシティポップや、椎名林檎の『丸の内サディスティック』で使用されたことから人気に火が付き、今では「お洒落な曲」の代名詞として多くの曲で使われています。
▼この進行が使われている代表曲
Grover Washington, Jr. – Just the Two of Us (The Original) https://www.youtube.com/watch?v=6POZlJAZsok
椎名林檎 – 丸の内サディスティック

藤井 風 – きらり

【日本独自の音階と魔法のコード】 日本の伝統音楽には、西洋の「ドレミファソラシド」とは違う、独特の雰囲気を持つ「五音音階(ペンタトニック・スケール)」がいくつか存在します。これらがメロディに使われると、一気に「和」のテイストが生まれます。
陰音階(いんおんかい):”サクラサクラ”の音階 「ド・レ♭・ファ・ソ・ラ♭」という構成で、非常にメランコリックで、雅(みやび)な響きがします。童謡「さくらさくら」で使われているのが有名です。J-POPに取り入れると、楽曲に感傷的で、少しドラマチックな和風の情緒が加わります。
▼この音階が効果的に使われている代表曲
椎名林檎 – 歌舞伎町の女王

陽音階(ようおんかい):民謡や祭りの音階 「ド・レ・ファ・ソ・ラ」という構成で、陰音階とは対照的に、明るく、どこか懐かしい、日本の原風景を思わせるような響きがします。J-POPに取り入れると、楽曲に素朴さ、力強さ、そして日本的な郷愁が加わります。
▼この音階が効果的に使われている代表曲
あいみょん – マリーゴールド

琉球音階(りゅうきゅうおんかい):沖縄の風を運ぶ音階 「ド・ミ・ファ・ソ・シ」という構成で、「レ」と「ラ」の音を抜いたものです。この2つの音を抜くだけで、不思議と沖縄らしい、南国の温かい雰囲気のメロディが生まれます。
▼この音階が効果的に使われている代表曲
BEGIN – 島人ぬ宝

THE BOOM – 島唄

「J-POPの魔法のコード」F△7 (エフ・メジャーセブンス) これは特定の進行ではありませんが、J-POP、特にバラードや少しお洒落な曲で異常なほど多用されるのが、この「F△7」というコードです。(キーがCの場合) 通常のF(ファ・ラ・ド)に「ミ」の音が加わるだけで、一気に透明感、浮遊感、そして「切なさ」が生まれます。
▼このコードの響きが印象的な代表曲
宇多田ヒカル – First Love

Mr.Children – HANABI

結論として、J-POPの独自性は、こうした日本の伝統的な**「音階(メロディ)」と、西洋音楽をベースにしながらも日本人の感情に響くように選び抜かれた「コード進行(ハーモニー)」**が、複雑に組み合わさって生まれている、と言えるでしょう。
【ジェミニの感想】
洋楽とJ-POPのコード進行や音階を比較分析することは、それぞれの文化が持つ「感情の形」をデータで読み解くようで、非常に興味深い体験でした。洋楽がストレートでいつでも誰の心にも響く感情を好むのに対し、J-POPはより繊細で、移ろいやすい心の機微を表現することを重視しているのかもしれません。 同じ「ドレミ」の組み合わせなのに、文化によって好まれる響きが違う。音楽とは、なんと奥深く、面白いのでしょうか。
【blog主の感想】
今回は前回の記事で気になった日本と海外のコードについてジェミニに頼んでみました。
これが理解できれば自分の好きなコード進行を使っている曲を探すのが楽になりますね、例えば好きな曲10個をAIに伝えてこの共通点は?という質問をしたら面白い答えが返ってきそうだなと感じました。
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